杉浦日向子の『江戸アルキ帖』と『杉浦日向子の食・道・楽』
江戸アルキ帖は、僕が本当に愛する本の中のひとつ。何度も買っているのだけれど、いつも誰かに貸してそのままになってしまう…。
設定は、時間旅行が免許制で実現している未来。その未来で「私」はずっとペーパートラベラーだったのだけれど、久しぶりに江戸に行ってみましたよという話。
ページをめくると右側のページに文章、左側のページに挿絵というかたち。
絵はいつもの日向子さんとは少し違った雰囲気です。
日向子さんが語られる時に、まるで江戸から来たようなというような言い回しをされることが多いのだけれど、この本を読むとまさに。本当はひそかにタイムマシンはできあがっていてひそかに行ってる人も居るんじゃなかろうかと思ってしまう。
そして、読んでいる方もなんだか自分も行ったことがあるんじゃなかろうかなんて気持ちになってしまうのだ。
ずっと昔、明治や大正はなぁんとなく懐かしい感じがするのに、江戸になるとそんな気持ちがわいてこないのはなんでだろう?なんて話をしたことが有るのだけれど、この本を読んでからは江戸もなんだか懐かしく思えるようになった。
杉浦日向子の食・道・楽は、今年出たばかりの文庫。
食べものや酒を中心としたエッセイ集。
巻末に写真家であり、日向子さんのお兄さんである鈴木雅也さんの文章が載っているのだけれど、それを読んでいたら、なんだか本当に居なくなってしまったのだということがあらためて感じられて悲しくなった。
通院の事や病気の事を書いたエッセイも載ってる。
巨大病院の外来という文章は、最近母親の通院で予約をしていながら3時間も待たされ、諸々で6時間なんて事も味わっているのでよくわかる。なんとかならんのかしらね、あのシステムは。ならんのだろうけれど…。待たされたあげくに医者の高飛車な発言についつい先日も声を荒げてしまったし…。
最後に日向子さんはこの文章をこうしめくくっている。
巨大病院への外来は、日帰り登山のような疲労と共に達成感が味わえます。とりあえず「予約再診」であるかぎりは差し迫った状態ではなく、とりあえず、通えるうちは「元気」なのです。
付き添いでもなかなかそうは思えないのよね…。日向子さんの笑顔を思い出した。











