勤めていた歯車工場が倒産してしまった。
やはりマニア相手の仕事は一件あたりの金額は大きいが波が有る。金額は大きくても、儲けがほとんど無いということも少なくなかったのだろう。なんとかしのいでいた社長の力もこれまでということか…。
これからどうしようと空を仰ぐと冬の青空。
幸い叔父が残してくれた骨董店の跡と住居が一緒になった家は有るので住むところには困らないし、少しだけれど貯えも有る。
しばらくゆっくりしてみよう。何かやりたいことが見つかるかもしれない。
とりあえず、家に戻り骨董店跡の掃除を始めた。
長い間使っていなかったので埃が積もっている。そこに二階への階段から続く僕の足跡がついているだけだ。猫のデネブとソルの足跡はたくさんついているけれど。
午後一杯を使ってやっと床掃除が終わった。冬の夕方ははやい。
外に出るともう真っ暗だった。月が明るい。
歯車工場で社長の目を盗んで造ったプレートがひとつある。
そのプレートを入り口のドアにかけてみる。
思った通りなかなか似合っている。
今日からここをBlack Comet Clubということにしよう。










